畳ができるまで-畳の原料「イ草」の栽培から染めの工程までを一気にご紹介!

さらっとした肌触りや、昔懐かしい香りから、私たちに快適性と癒しをもたらしてくれる畳。その原料には「イ草」と呼ばれる植物を使用しています。フローリングにはない吸湿性や消臭効果など、畳ならではの機能はイ草が持つ力だといっても過言ではありません。

そこで今回は畳の原料であるイ草が育つ過程をご紹介。炎天下の夏も、凍えるような寒さの冬も休むことなく続けられるイ草の栽培を通して日本特有の伝統文化である畳の知られざる裏側を覗いてみませんか。

①苗畑への植付け
イ草の栽培は種を撒いて育てるのではなく、苗を育て株を増やすところからスタート。
「苗畑(なえはた)」と呼ばれる苗を育てるための畑に苗を植える作業が冬の初め、11月下旬から12月にかけて行われます。ここで使用する苗は夏に「苗床(なえどこ)」という株を増やすための畑に植えられたものです。
苗畑にはたい肥を撒いて畝を作り土壌を整えてから機械で植えていきます。収穫した時に長さにバラつきが出ないよう、先端を短く切りそろえてから植える事がポイント。

②苗の収穫
植え付けた苗は冬の間は枯れたような見た目をしていますが、春先から夏にかけて成長期を迎えます。そして7月中旬から下旬、夏真っ盛りの日差しの下で苗を収穫。収穫した苗は長さを揃えるために押切(おしぎり)と呼ばれる器具でカットします。

③苗床への植付け
苗畑から収穫した苗は株分けをしたのち、株を増やすために苗床に植え替えていきます。苗は機械を使用すると傷んでしまう可能性があるため、1本1本手で植えてきます。手植えはどうしてもまっすぐに植えていくのが難しいため、手作りの定木を使って畑にガイドラインを引いてから植えています。

④土壌の管理
植え付けが終わると土壌の水の管理が始まります。8月~9月中旬までの約1か月半は、
畑に水を張る⇨水をすべて抜く⇨適度に乾かすの作業を毎日繰り返し行います。
苗を掘り起こすまでの間は土壌が乾ききってしまうことが無いよう、注意しながら管理を続けます。苗を掘り起こす直前、畑の水を全て抜き乾かします。

⑤苗の収穫
秋から冬へと季節が移りゆく11月、苗床の苗の収穫が始まります。専用の農機に乗って掘り起こし、根元の泥をふるい落とします。
泥のかたまりが取れたら、手作業で株分けをしていきます。株分けした苗は苗処理器で短くカットし、苗箱に詰められます。

⑥植付け
ぎっしりと苗が詰まった苗箱を農機にセットして、いよいよ本田への植付けがスタート。
代掻きと呼ばれるハンディマシーンで肥料と水と土をかき混ぜて作った土壌に苗を植え付けていきます。そして畑に水を張って植付けの完了です。

⑦糸張り
水を張った本田にはカモが遊びに来て、田んぼの中を泳ぎ植えた苗をバラバラにしてしまう事があります。そこで、カモ対策として植付けが終わった田んぼに糸を張ります。しかし、カモ除けを張っても夜になると糸を潜り抜けてカモが田んぼに入ってきてしまうこともあるため、夜の間だけは田んぼの水を抜くことでカモが泳げないようにしてイ草を守ります。しばらくして、根が活着するとバラバラになることはなくなるので、それまでの間は気が抜けません。

⑧網張り
イ草が成長期を迎えるころ、畑全体を網で覆います。これは成長したイ草が倒れてしまわないよう支えるためです。数か所に杭を打ちそこに網をかけていきます。かけた網はイ草の成長に合わせて高さを上げて成長の妨げにならないようにします。

⑨イ草の収穫
昨年の冬に植付けをした苗が成長し夏真っ盛りの7月、いよいよ収穫の時を迎えます。
夏の日差しと闘いながら、畑を覆っている網を回収して刈り取り機で収穫していきます。

■イ草を収穫する様子

⑩泥染め
刈り取ったイ草は夏の暑さで傷んでしまわないよう新鮮なうちに泥染めを行います。染土を水で溶いた溶液に、刈り取りの際に束ねられたイ草をくぐらせます。

■泥染めに使用する染土
(陶芸で使う泥と同じ性質のものを使用。)

■泥染めをしている様子の写真

染土にくぐらせたばかりのイ草からはぽたぽたと溶液が垂れてくるので、上下にゆすって余分な溶液を落としコンテナに詰めていきます。

■コンテナに詰められたイ草の写真

泥染めをする理由は、乾燥を促進させ、日焼けを軽減させる働きがあるから。イ草には夏場は湿気を吸収し、冬場は湿気を放出する作用が認められていますが、泥染めに使う泥もまた調湿作用があると言われています。

⑪乾燥
泥染めしたイ草を乾燥機に並べ入れ、70~80土で約8時間かけて乾燥させます。高温で乾燥させるとイ草が傷んでしまうため、低温でじっくりと乾燥させることがポイント。

⑫釜上げ
乾燥させたイ草を取り出す作業を釜上げと言います。乾燥したての乾燥機は余熱が残っていて、作業場は高温状態に。また、乾いた染土が砂埃の様に空気中を待っているので、汗と泥で顔中真っ黒になりながら作業を進めます。

■釜上げしたイ草

余分な泥を機械でふるい落としたイ草を、日焼けしないよう光を通さない袋に入れて約3か月保管し、泥と馴染ませます。数か月寝かせることでイ草と泥が化学反応を起こし畳特有の懐かしい香りが生まれると言われています。

こうしてできたイ草が織機にかけられて1枚のゴザとなり、畳へと姿を変えみなさまのご自宅に届けられます。

日本人の生活に馴染み深い畳の知られざる裏側はいかがでしたでしょうか。畳がお家にあるというご家庭は年々減ってきてしまっていると言われていますが、ぜひ畳のミカタ.comを通して畳の魅力を再発見していただけたら幸いです。

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