皆様、はじめまして! コールセンターの松縄(まつなわ)と申します。
和の文化や畳の魅力を、少しでも多くの方にお届けできるよう、日々奮闘しています。
そんな私が6月某日、弊社で実際に使用している「イ草」の畑と工場の見学のため、海を越えて中国・寧波(ニンポー)市へ行ってきました!
初めての海外視察でドキドキ。

畳に使用されるイ草は一体どんな風に育てられているのでしょうか?
6月はイ草の収穫時期
イ草は毎年6月中旬~6月末頃に刈り取りの時期を迎えます。
今回の視察は刈り取りの時期でしたので、刈り取りの様子や収穫後のイ草がどのように畳のゴザになるのか…という所を皆さんにご紹介できればと思います!
レポートの前に…和の文化『畳』と中国の関係
日本独自の伝統的な床材として広く知られている畳。
実は、そのルーツには中国や朝鮮半島から伝わった敷物文化の影響があることをご存知ですか?
東アジアでは古くから、布やイ草で作った茣蓙(ござ)を敷物として使う文化がありました。
奈良時代には、その文化が中国経由で日本に伝わり、宮廷や貴族の間でも用いられていたそうです。
そんな茣蓙(ござ)や敷物の文化が日本で発展し、室内で座る生活文化と結びつくことで、畳の原型が生まれたと言われています。
中国からの影響を受けつつも、日本独自の感性で進化した畳文化は、和室の心地よさや空間の美しさを象徴する存在になっているのですね!
中国の敷物文化と畳には深い関わりがある事が分かったところで…
中国レポート、スタートです!
いざ、イ草畑へ!

画像:寧波市イメージ
寧波市(ニンポー)の中心部からイ草畑に向かったのですが、こんな都会の中に畑があるの!?と疑うくらい、中心部は都会でオフィスやホテルが多くありました。
中心部から車で40分程移動した頃、突然自然が増え始め、イ草畑に到着しました。

写真の奥に大きいビルが沢山建っているのが、お分かりいただけると思います。

反対側を向くと、見渡す限りの大きいイ草畑が広がっています。

気温が35度で湿度も高く、かなり暑い日でした。
通常は朝方4時~6時頃の涼しい時間に刈り取りを行い、気温が上がる前には刈り取りを終えるそうです。
機械で刈り取りをすると思っていたのですが、なんと桑を使用して手作業で刈り取りを行っていてびっくりしました!

出来るだけ、根本から刈り取りを行い、無駄が無いようにします。
刈り取り後、イ草の束を上下に振り下ろし、短すぎるイ草を選別していきます。
刈り取ったイ草は全て商品にできると思っていたので、この工程がある事に驚きました!
短すぎるイ草は製品にできないという事で、工夫されているんですね!
長さを選別した後は、地面にトントンと当て、根元を揃えて、刈り取り完了です!
なんと、私も刈り取りの体験もさせていただきました!
現地の方が1束10株以上あるのに対し、私の1束は2株程しか刈り取れませんでした…笑
力を入れてもなかなか刈り取れず、2~3回、手前に強く引いてやっと刈る事ができとっても難しかったです。
刈り取りがなめらか!
現地の方は刈り取りのスピードがものすごく早く、私が1束刈り取りをする間に何倍もの速さで刈り取りをされており、職人技に驚かされました!
沢山刈り取りをした後は工場に運ばれます!
イ草畑から車で20分程で工場に到着しました!
いよいよ「工場」へ潜入!
まず工場へ到着すると、刈り取りされたイ草たちが大量に並んでいました!

画像:トラックに乗せられ、どんどん運ばれてくる「イ草」
工場に運ばれた後、コンテナに乗せられ洗い作業が行われます。

天井部分からシャワーを当ててしっかりと汚れを落としていきます。
汚れを落とした後は「泥染め」の工程に入ります。
泥でイ草をコーティング!? 泥染め工程とは??
「泥染め」とは、名前の通り「イ草」を泥に浸けて染めていく工程です。
なぜ、わざわざ泥に浸けて染めるのでしょうか??
泥染めをする理由
・イ草の色素と泥の細かい粒子が乱反射することにより特有の色味と艶が出る
・時間が経っても色が均一に変化しやすく、日焼けや変色を抑える
・泥に含まれる成分がイ草をコーティングする事により、摩耗や防虫の予防になる
このように、より使いやすいゴザにする為の大切な工程となるのです!
さぁ、実際の「泥染め」の様子を見ていきましょう!

写真のように泥を貯めて、この中にイ草を入れたコンテナごと漬けていきます。
泥染めの工程は知っていましたが、コンテナごと泥染めをするという事に驚きました!

濃度の違う泥のタンクが2つあり、一定の濃度で染まるように管理されています。
今回は特別に「泥染め」の様子を公開します!
この作業を2回繰り返す事で泥染めが完了となります!

画像:泥染めをする前のイ草

画像:泥染めをした後のイ草
青々とした緑から泥が乾燥して白っぽくなっているのがお分かりでしょうか?
比べてみるとしっかりと泥で染まっている事が分かりますね!
泥染めをした、イ草は次の『乾燥』の工程に移ります。
「イ草」を乾燥させて畳のゴザへ!
収穫したイ草は水分を多く含んでいる為、製品の品質を保持する為やカビ等を防ぐ為に乾燥の工程に入ります。

なんと17台もの乾燥機が並んでいました!
全て24時間稼働、1セット11時間程かけて、じっくりと乾燥させていきます。

乾燥前後だとイ草の体積がかなり変わっていました!!
しっかり乾燥しており、私たちが知っている畳の雰囲気が出てきましたね!
乾燥後のイ草は日に当たらないよう、黒いビニール袋に詰め込まれて窓がない倉庫に保管されます。

壁一面にイ草が入ったビニール袋が敷き詰められていました。
今回はまだ壁一面だけでしたが、作業を進めると、なんと倉庫がいっぱいになるそうです!
さて、次はいよいよ織機を使って、ゴザを織っていく工程です!
遂に「イ草」から畳ゴザへ変身の時!
イ草の長さを選別機で選別し、ゴザを織っていく工程にはいります。

今回は収穫時期だったので、実際にゴザを織っている様子は見られませんでしたが、8月中旬から沢山の織り機を全稼働させて、イ草をゴザにしていきます。
機械によって、織るゴザの種類が違い、上の看板にゴザの種類が書かれています。

こちらはヘリ無し畳で使用される『目積表』を織る機械
なんと1人5台の機械を担当するそうです!
機会があれば、是非織っている様子も見てみたいです!
その後のゴザは…
織られたゴザは室内へ運ばれて、「い泥落し」を行い、その後、仕分けと梱包されます。

機械を使って「泥染め」の余分な泥を落としていきます。
仕分けは手作業なのですが、ゴザは日に当たると日焼けしてしまう為、窓が無く閉め切った部屋で仕分け作業を行います。
室内は風も通さないような場所で、熱中症の方も出てしまうくらいの暑さの中、仕分け作業を行うそうです。
沢山の人たちが関わり、沢山の工程を経てできたゴザは、丁寧に梱包され出荷順に保管されます。

画像:梱包後、出荷の時を待つゴザたち
このゴザが実際に弊社の工場に入荷され、皆様からご注文をいただいた畳の表替や新規製作に使用されます。
今回の見学はここまでです!
実際に見学をしてみて
知識として、イ草の事を知っているつもりでしたが実際に見学させていただいて初めて知ることが多く、とても勉強になりました。
日頃、皆様にご案内させていただいている畳ゴザですが実際に出来上がるまでに、こんなに沢山の人が関わっているんだという事を改めて実感したと同時に自分自身の目で実際に見た事を、皆様にお伝えできる事がとても嬉しく思います!
沢山の人の努力から生まれているゴザ。
今後はより一層、愛情を持って皆様に素敵な商品をお届けしていきますので和室のお悩みやご相談、なんでもお気軽にご相談ください!
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